2021.3.29
- 補助金
事業再構築補助金_ポイント/注意点
こんにちは。MC LINKの丸山です。
今回は今話題になっている事業再構築補助金の後編です。
前回は、事業再構築補助金の制度内容を説明いたしました。
今回は、事業再構築補助金のポイントや注意点です。経済産業省のHPなどには記載されていない注意点や私見を合わせてご紹介したいと思います。
(1)事業再構築の必要性の有無の検討
本制度を使うのだから「「事業再構築」をするにきまっているではないか」というご指摘を受けるかもしれませんが、再度のご確認です。
「補助金を獲得することそれ自体が目的になっていないでしょうか?」
・総予算1兆円以上、最大1億円以上の補助
・設備業者やIT業者が同制度と抱き合わせで営業
という背景などから、補助金ありきになっているケースも見受けられます。
また、弊社のお客様からのご質問でも、
「事業再構築補助金の申請をしたいのだが、どのような再構築をすれば補助金を採択されるか」というご質問をいただきます。
本制度は、
・事業の再構築、新規展開という企業の既存事業に大きな影響を与えるものであること
・自己負担は1/3あること
・計画期間内に事業を継続できなくなった場合、補助金の返還を求められる予定であること
を再度ご確認いただいた上で、下記の順序でご検討ください。
- 事業の発展に限界を感じる
↓
- 新規事業の検討、新商品の開発、業態業種の転換の検討
↓
- 補助金の適用可否を検討
(2)スケジュール
2021年3月上旬:事業再構築補助金の公募公開
2021年3月中旬開始~4月:事業再構築補助金の受付開始
2021年5月~6月:事業再構築補助金の審査
2021年7月:採択結果公表
2021年8月:交付決定
2021年8月~2022年7月:補助対象期間(1年程度)
2022年8月:実績報告
2022年9月:補助金支給
上記は1次公募です。2次、3次も予定されていますが、概ね上記の2か月程度ずれるスケジュールになるかと思います。
1次公募を前提とするとスケジュールは相当タイトになりますが、注意していただきたい点は、
「補助金の採択のために、検討を急がないこと」
です。上記(1)でご説明したとおり、本来の目的を見誤ってはいけないと考えます。
(3)事業再構築の指針
事業再構築補助金の対象を明確化するため、「事業再構築」の定義について、明らかにされています。
「事業再構築」とは、A新分野展開、B事業転換、C業種転換、D業態転換、E事業再編の5つを指します。補助金に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を策定することが必要となります。
A 新分野展開
主たる業種や主たる事業を変更することなく、新たな製品の製造やサービスの提供等により、新たな市場に進出することをいいます。
新分野展開に該当するには次の要件が示されています。
①製品等の新規性要件
②市場の新規性要件
③売上高10%要件
B 事業転換
新たな製品の製造や新たなサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、「主たる事業」を変更することをいいます。
ここで、「主たる業種」とは日本標準産業分類に基づく大分類の産業であり、「主たる事業」とは日本標準産業分類に基づく中分類以下の産業を指しています。
業態転換に該当するには、次の要件が示されています。①②は新分野展開と同様です。
①製品等の新規性要件
②市場の新規性要件
③売上高構成比要件※
※3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定する。
C 業種転換
新たな製品の製造や新たなサービスを提供することにより、「主たる業種」を変更することをいいます。
業種転換に該当するには、次の要件が示されています。①②は新分野展開や業態転換と同様です。
①製品等の新規性要件
- 市場の新規性要件
- 売上高構成比要件
※3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する業種が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定する。
D 業態転換
製品の製造方法やサービスの提供方法を相当程度変更することをいいます。
業態転換に該当するには、次の要件が示されています。
①製造方法等の新規性要件
②製品の新規性要件または設備撤去又はデジタル活用要件※
③売上高10%要件
※設備撤去又はデジタル活用要件は、既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化等に資するデジタル技術の活用を伴うもの
ここで注意する点は2点です。
・要件のハードルがものづくり補助金などと比較して高く、企業でしっかりした検討と計画が求められる
・B事業転換とC業種転換では、新しく製造する製品や提供するサービスの売上がその会社の中で最も大きい売上を占めるようになり、主たる事業や業種を変更する計画とする必要があるため、さらにハードルが高くなる
ことです。
現実的には多くの申請がA新分野展開、D業態転換に集中するのではないかと想定しています。
まとめますと、
・事業再構築をする必要性の有無から検討をするべきで本質を見失わないこと
・1次公募はタイトであるが、急がずに腰を据えて再構築の構想、計画策定をするべき
・抜本的な事業再構築までは予定しない企業は、現実的にはA新分野展開、D業態転換を選択することが想定される
以上です。
不明点などございましたら丸山までご連絡ください。